「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」とは?胃ろう・たん吸引が必要な親の在宅生活を支える方法
この記事のポイント(30秒で把握)
- 胃ろう・たん吸引・在宅酸素など医療処置が必要でデイやショートを断られた親には、「看多機(看護小規模多機能型居宅介護)」が唯一無二の受け皿になる
- 1つの事業所で「通い(デイ)」「泊まり(ショート)」「訪問介護」「訪問看護」の4サービスをワンストップで臨機応変に利用可能
- 利用料は「要介護度に応じた月額包括定額制」(高額介護サービス費の合算対象)。専属ケアマネジャーへの変更が必要な点に注意
1. 医療依存度が高い親の「受け入れ先がない問題」を救う看多機
「親が入院中に胃ろうを造設した」「頻繁なたん吸引が必要になった」――。
病院から退院を迫られた際、医療処置(医療依存度)が高い高齢者は、一般的なデイサービスやショートステイから「看護師が常駐していない」「急変に対応できない」という理由で利用を断られてしまうケースが多発します。
「施設にも入れず、デイも使えないなら、仕事を辞めて家で看病するしかないのか…」と絶望する家族を救うために国が創設した公的サービスが、「看多機(かんたき:看護小規模多機能型居宅介護)」です。
2. 看多機の基本機能:「4大サービス」がワンストップで完結
通常の在宅介護では「デイサービス事業所」「訪問介護ステーション」「訪問看護ステーション」「ショートステイ施設」の4社と別々に契約しなければなりません。しかし看多機なら、すべて1つの事業所で完結します。
| サービス種別 | 看多機ならではの特徴 | 働く家族のメリット |
|---|---|---|
| 通い(デイ) | 看護師が常駐。胃ろう注入や吸引を行いながら日中を過ごせる。時間延長も柔軟。 | 「午前中だけ」「夕食を食べて20時まで」など仕事の都合に合わせた時間調整が可能。 |
| 泊まり(ショート) | 通い慣れた同じ施設・同じ個室に宿泊。看護師・介護士が夜間も見守り。 | 出張や夜勤、家族の休養時に「当日急な宿泊」でも柔軟に対応してくれる。 |
| 訪問看護 | 主治医の指示書に基づき、自宅へ看護師が訪問して点滴・処置・服薬管理。 | 通所していない日でも、プロの医療チェックが自宅に入るため安心。 |
| 訪問介護 | デイと同じ顔なじみの介護スタッフが自宅へ訪問し身体介助・生活援助。 | 「人が変わると嫌がる」認知症の親でも環境変化のストレスがない。 |
最大の強み:「通い・泊まり・訪問」をすべて同じスタッフが担当するため、親の体調や薬の変更情報がリアルタイムに共有され、情報伝達ミスによる事故を防げます。
3. 看多機で対応できる「主な医療処置・受け入れ基準」
一般施設では断られがちな以下の高度な医療処置も、看多機であれば原則として受け入れが可能です(※事業所の看護師配置体制により要確認)。
| 医療処置の区分 | 看多機で対応可能な具体的な処置内容 |
|---|---|
| 経管栄養・消化器系 | 胃ろう(PEG)、腸ろう、経鼻経管栄養、中心静脈栄養(IVH/ポート管理)、人工肛門(ストマ) |
| 呼吸器・循環器系 | 頻回のたん吸引(口腔・鼻腔・気管カニューレ)、在宅酸素療法(HOT)、人工呼吸器管理 |
| 排泄・皮膚・投薬 | 膀胱留置カテーテル(バルーン)、インスリン注射・血糖測定、重度褥瘡(床ずれ)の処置 |
| 終末期・ターミナル | 末期がんの疼痛管理(麻薬性鎮痛薬・持続皮下点滴)、看取り対応(在宅および施設内での看取り) |
4. 費用体系と利用時の「2つの注意点」
看多機を利用する前に、費用体系とケアマネジャーのルールを必ず理解しておきましょう。
- 介護保険料は「月額包括定額制」
利用料は、デイや訪問を何回使っても「要介護度に応じた月額定額」です(※宿泊費・食費等の実費は別途)。使えば使うほど割高になる心配がなく、毎月の介護予算が立てやすいメリットがあります。もちろん「高額介護サービス費」の合算対象です。 - ケアマネジャーが「看多機専属の担当者」に変更になる
看多機を利用する場合、法律上、現在の担当ケアマネジャーから看多機に所属するケアマネジャーへ担当を変更しなければなりません。現在のケアマネと関係が良好な場合は少し寂しさを感じるかもしれませんが、医療知識の豊富な専属ケアマネが一括でプランを組んでくれるため、結果として両立は劇的にスムーズになります。
まとめ:退院が決まったら即座に地域包括へ「看多機の空き」を確認しよう
親に医療処置が必要になったからといって、「仕事を辞めて24時間付きっきりで看病する」必要は絶対にありません。
看多機は登録定員(最大29名)が定められている地域密着型サービスのため、地域によっては空き待ちになることがあります。
病院から「医療処置が必要な状態で退院」と告げられたら、その日のうちに病院のMSW(医療ソーシャルワーカー)や実家の地域包括支援センターに「地域の看多機の空き状況を調べてほしい」と依頼しましょう。

