親を扶養に入れて税金を安くする!「老人扶養控除」と「障害者控除」で年間数十万円取り戻す申請マニュアル
- 親と別居していても、仕送り等で生計を一にしていれば「税法上の老人扶養控除(38万〜58万円控除)」が適用可能
- 手帳がなくても要介護認定を受けていれば自治体の「障害者控除対象者認定書」でさらに27万〜40万円の控除が上乗せされる
- 「税金の扶養」と「健康保険の扶養」は別物!税金の扶養に入れても親の医療費負担や介護保険料は上がらない
- 年末調整または確定申告で申請でき、過去5年分まで遡って還付金を受け取ることも可能
1. 親を「税金の扶養」に入れる2大控除の仕組みと節税額
親の介護が始まると、施設費用や医療費、おむつ代などで毎月数万円〜十数万円の出費がかさみます。
「国の制度で少しでも家計を取り戻したい」と考えたとき、最も即効性があり合法的にお金を残せるのが「所得税・住民税の扶養控除」です。親を税金上の扶養に入れることで、子世代の課税所得が大幅に引き下げられ、年間で十数万〜数十万円の手取りが増加します。
| 控除の種類 | 対象者の条件 | 所得控除額(所得税 / 住民税) |
|---|---|---|
| 老人扶養控除 (同居老親等) |
70歳以上で、納税者または配偶者と同居している親 | 所得税:58万円 住民税:45万円 |
| 老人扶養控除 (別居・同居以外) |
70歳以上で、離れて暮らす親(仕送り等で生計を一にする場合) | 所得税:48万円 住民税:38万円 |
| 障害者控除 (普通) |
要介護1〜2程度、または身体障害者手帳3〜6級相当 | 所得税:27万円 住民税:26万円 |
| 特別障害者控除 | 要介護3〜5、重度認知症、身体障害者手帳1〜2級相当 | 所得税:40万円(同居75万円) 住民税:30万円(同居53万円) |
年収600万円の会社員(所得税率20%+住民税率10%)が、別居している75歳の親(要介護3・特別障害者)を扶養に入れた場合:
・老人扶養控除(所得税48万+住民税38万)による減税:約13.4万円
・特別障害者控除(所得税40万+住民税30万)による減税:約11.0万円
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2. 親を税法上の扶養に入れられる条件|別居でも年金暮らしでもOK?
「親は年金をもらっているから扶養には入れないのでは?」「実家で一人暮らしをしている別居親は無理では?」と勘違いしている方が非常に多いですが、以下の2要件を満たせば問題なく対象になります。
- 親の年間合計所得が「48万円以下」であること
公的年金には「公的年金等控除(65歳以上は最低110万円)」が適用されます。そのため、収入が公的年金のみの場合、親の年金受給額が年間「158万円以下(月額約13.1万円以下)」であれば、所得が48万円以下となり扶養要件をクリアします。 - 納税者と「生計を一(いつ)にしている」こと
同居している場合はもちろん、別居していても「定期的に生活費や医療費を仕送りしている(銀行振込で通帳に履歴が残っている)」実態があれば生計を一にしていると認められます。※手渡しの現金は証拠が残らないため、必ず銀行振込で行いましょう。
3. 【最大の盲点】手帳がなくても使える「障害者控除対象者認定書」
身体障害者手帳を持っていなくても、65歳以上で要介護認定(要支援〜要介護)を受けている親であれば、市区町村から「障害者控除対象者認定書」を発行してもらえる制度があります。
これがあれば、税法上「障害者」または「特別障害者」と同等の税控除が受けられます。
| 自治体の判定区分 | 要介護認定・日常生活自立度の目安 | 適用される税法上の控除 |
|---|---|---|
| 障害者控除(普通) | ・要介護1〜2程度 ・認知症高齢者の日常生活自立度 II ・障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)A |
所得税27万円控除 住民税26万円控除 |
| 特別障害者控除 | ・要介護3〜5程度 ・認知症高齢者の日常生活自立度 III以上 ・障害高齢者の日常生活自立度 B・C(寝たきり) |
所得税40万円控除 (同居特別障害者は75万円) |
※申請先:親の住民票がある市区町村の「介護保険課」または「福祉事務所」。要介護認定調査票の控えなどを基に審査され、郵送や窓口で数日で交付されます。
4. よくある誤解:「親の介護保険料や医療費が高くなるのでは?」
「親を扶養に入れると、親の医療費負担が1割から3割に上がったり、特養の補足給付(食費部屋代減免)が使えなくなるのでは?」と心配される方がいます。
結論から言うと、「税金の扶養(税法上の扶養親族)」に入れるだけであれば、親側の自己負担や保険料が跳ね上がることは一切ありません。
・税金の扶養(今回解説):子どもの所得税・住民税を安くする制度。親自身の課税所得には影響しないため、親の自己負担割合は変わりません。
・健康保険の扶養(被扶養者):親の保険証を子どもの健保組合に入れること。75歳以上の親はそもそも全員が「後期高齢者医療制度」に加入するため健保の扶養には入れません。75歳未満の場合でも、健保扶養に入れると特養の補足給付の世帯要件等に影響が出る場合があるため、「税金上の扶養だけに入れる」のが最も安全で確実です。
5. 申請手順マニュアル|年末調整と確定申告(過去5年分の遡り還付)
- 勤務先の「年末調整」で申請する場合
毎年秋に会社へ提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の【控除対象扶養親族】欄に親の氏名・マイナンバー・生年月日を記入し、「老人扶養親族(同居老親等/その他)」にチェックを入れます。障害者控除を受ける場合は「障害者」欄にも記入し、役所で取得した認定書を添付・提示します。 - 年末調整で出し忘れた・別居の証明が遅れた場合
年明けに自分で「確定申告(還付申告)」を行えば、払いすぎた所得税が口座に振り込まれ、翌年度の住民税も安くなります。スマホ(マイナンバーカード対応)のe-Taxなら自宅から15分で完了します。 - 今まで知らずに申請していなかった場合(過去5年分の遡り請求)
「親が3年前から要介護認定を受けていたのに、ずっと扶養に入れていなかった」という場合でも諦める必要はありません!過去5年分まで遡って「更正の請求(還付申告)」が可能です。市役所で過去分の障害者控除認定書を発行してもらい、申告すれば過去の税金が数十万円単位で一括還付されます。
まとめ:知っている家族だけが守られる、最強の家計防衛術
介護は家族の優しさや献身だけで乗り切れるものではありません。長期化する介護生活では、経済的な体力を温存することが共倒れを防ぐ絶対条件です。
国や自治体は「申請すれば還付する」というスタンスを取っており、向こうから親切に教えてくれることはありません。要介護認定を受けている親がいるなら、まずは役所で「障害者控除対象者認定書」が発行できるか確認し、正当な権利として税金を取り戻しましょう。

