「介護休暇」が年間5日から10日に拡充!2025年改正育児・介護休業法で働く家族が知るべき制度変更ポイント
- 2025年4月より順次施行される法改正で、働く介護者の権利と企業の支援義務が大幅に強化
- 全企業に対し、「40歳到達時」および「介護直面の申出時」に制度を個別に知らせ、意向確認することが義務化
- 介護中の従業員が利用できる「テレワーク(在宅勤務)」の導入が企業の努力義務に
- 「介護休暇(年5日・2人以上で10日)」の取得要件が緩和され、入社直後(勤続6ヶ月未満)でも即日使えるように改善
1. なぜ今、法改正なのか?「隠れ介護離職」を防ぐ国の本気度
日本では毎年約10万人ものビジネスパーソンが親の介護を理由に仕事を辞めています。
その多くが「会社に介護のことを言い出せないまま一人で抱え込み、限界に達して突然退職届を出す」という「隠れ介護離職」のパターンです。
企業にとっても、業務の要である40代・50代の管理職やベテラン社員を失うことは甚大な損失です。そこで国は、2025年4月(一部2025年10月)より「改正育児・介護休業法」を順次施行し、会社側から積極的に両立支援を働きかける仕組みへと大きく舵を切りました。
2. 2025年法改正の「4大重要ポイント」比較表
今回の法改正で、働く私生活に直結する変更点は以下の4つです。
| 改正項目 | 改正前のルール | 改正後(2025年施行)のメリット |
|---|---|---|
| ① 制度の個別周知・意向確認 | 努力義務、または特段の規定なし(従業員から申告しないと分からない) | 【完全義務化】 従業員が40歳に達した時、および家族の介護に直面した旨を申し出た時に、会社が制度を個別説明し意向を確認しなければならない。 |
| ② 研修・相談窓口の義務化 | 企業の任意 | 【完全義務化】 全従業員への介護両立研修の実施、または社内相談窓口の設置が義務化。職場の介護への理解が進む。 |
| ③ テレワークの導入努力義務 | 企業の判断(特段の法的要請なし) | 【努力義務化】 介護を行う労働者がテレワーク(在宅勤務)を選択できるよう、企業は環境整備に努めなければならない。 |
| ④ 介護休暇の要件緩和 | 勤続6ヶ月未満の労働者は労使協定で「取得対象外」に除外可能だった | 【除外協定の撤廃】 転職・再就職したばかりの社員でも、入社初日から「年5日(2人以上なら10日)」の介護休暇が利用可能に。 |
3. 40歳になったら会社から声がかかる!「早期周知」の狙い
今回の改正で最も画期的なのが、「40歳到達時の個別周知」です。
介護保険の第2号被保険者となり介護保険料が給与から天引きされ始める「40歳」のタイミングで、企業は全社員に対して、以下のような案内を面談や書面で行うことが義務付けられます。
- 周知される内容:
・介護休業制度(通算93日・3回分割取得)の仕組み
・介護休業給付金(賃金の約67%支給・非課税)の申請法
・介護休暇(時間単位で取れる年5〜10日)の使い方
・短時間勤務制度、残業免除、テレワークなどの両立支援措置
・社内の相談窓口や外部の地域包括支援センターの連絡先
親が倒れるのは常に突然です。40歳の面談で受け取ったパンフレットやマニュアルを保管しておけば、いざ親が倒れた時に「何日休めて、いくら手当が出るか」を迷わず即座に確認できます。
4. 会社に制度を申請する際の実践3ステップ
法律で権利が強化されたとはいえ、待っているだけでは制度は使えません。親の様子がおかしい、または入院した段階で、以下の手順で会社へアクションを起こしましょう。
- 「介護状況申出書」を会社に提出する
法改正により、社員が「家族に介護の必要が生じた」と申し出た場合、会社は個別に面談を開き、制度の利用意向を確認しなければなりません。まずは人事部や上司へメールや書面で申出を行いましょう。 - 「テレワーク+時間単位の介護休暇」で初動を乗り切る
要介護認定の申請やケアマネジャーとの初回面談、病院の付き添いには、半日や1時間単位で取得できる「介護休暇」を活用します。テレワークが可能な職場であれば、在宅勤務を併用して移動時間を削減します。 - 介護休業(通算93日)は「介護体制構築」のために使う
介護休業は「自分が介護するため」に使い切ってはいけません。デイサービスやショートステイを契約し、職場復帰後に自分が働き続けられる外部体制を作るための時間として活用しましょう。
5. 法律で禁止されている「介護ハラスメント(ケアハラ)」対策
「介護休暇を取りたいと伝えたら、上司に嫌味を言われた」「介護休業を取得したら重要プロジェクトから外された」――こうした行為は、法律上「介護休業等に関するハラスメント」として固く禁止されています。
事業主は、介護休業や短時間勤務の申出・利用を理由として、解雇、雇い止め、降格、減給、不利益な配置転換を行うことは法律(育介法第10条)で禁じられています。理不尽な対応を受けた場合は、社内のコンプライアンス窓口や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談できます。
まとめ:法改正を追い風に、堂々と仕事と両立しよう
「親の介護で会社に迷惑をかけて申し訳ない…」と罪悪感を抱いて退職してしまう時代は終わりました。
2025年改正法は、「働く人が介護離職せず、キャリアを維持しながら家族を支えること」を社会全体で後押しするための強力な盾です。会社の相談窓口や人事部を恐れず味方につけ、使える制度をフル活用して持続可能な両立体制を築いていきましょう。

